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ヨーロッパ・アルプスが癖になりそう!!

ツェルマットより望むマッターホルン
ヨーロッパ出発前にいろいろとアドバイス、ご声援くださったみなさんありがとうございました。おかげをもちまして、8月14日午前8時10分、予定通り4478mのマッターホルン山頂に立つことができました。
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東京の我が師匠とも合流することができ、8月12日はともに高所順応のためブライトホルンを登ってきました。私にとって初めての4,000m峰でしたが、幸い時差ぼけ・山酔いもなく、これが14日のマッターホルンへのいいトレーニングになったと思います。
ほんとうは12日にリッフェルホルンで岩トレのつもりだったのですが、師匠から「あなた、いまさら岩登ってどうするの。高所トレーニングに行かなきゃだめよ」と言われて、あっさり方向転換。師匠の言葉が正しかったようです。4,000m峰にも一つ余分に登れましたし・・・。
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ブライトホルン山頂にてモンテローザを背に
8月13日午前中にツェルマットのアルパインセンターでベルベデール小屋とガイドとヘリ保険の手続きを済ませ、のんびりと午後小屋入り。夕食の後、ガイドを紹介してもらう。マイク君という割と華奢な28歳の好青年。そばにいた師匠が「あ、そっちがいい!」思わず叫んだくらいの美青年だ。
見ると、師匠に付くガイドは筋肉モリモリのがっちりしたエリック君。うーん、彼のほうが安心そうなんだけどなー。
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ガイドが装備を見せろというので、翌日持って行くものをすべて広げて見せる。ヘルメット(ヘッドランプ装着済み)、手袋、サングラス、雨合羽(ウィンドヤッケ代わりになるゴアのもの)、アイゼン、ハーネス、行動食、カメラ、あとは細々としたものを入れてる小物袋。これだけ。
アイゼン(向こうの人たちはクランポンと言ってた)を付けろと言われ急いで付けたら普段よりも早くきれいにしっかり装着できてしまった。
「べリーグッド!」と誉められてしまう。これ以降ガイドがすっかり柔らかい表情を私に許すようになった。
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隣はと見ると、我が師匠がなにやらガイドと揉めている。どうやら服装のことのようだ。彼女が自分が着ていく下着を見せ「これで行くつもりだが、どうだ」「いや、それでは暑すぎる」「私は寒がりなんだ」「だめだ、これはいらない。これとこれだけにしろ」「あんたたちとは体の作りが違うのよ」といった会話がなされていたかどうかは定かではない。
ドイツ語とフランス語と英語とが交じり合った言葉のラリーが続いては、私の耳ではとうてい理解不能。マイク君のきれいな英語の発音に感謝。
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「朝4時に朝食取って、4時10分に出発だから、準備は全て済ませて食堂に下りて来なさい。それじゃ、よく寝とくように」と言ってマイク君はあっさり部屋を出て行ってしまった。隣はこんどはチョコバーをめぐって争っている。
「小さな包みに分かれたチョコだと皮を剥くのが手間だから、小屋でチョコバーを買っておけ」「いいや、アタシはこれがいいのよ」「だめだそんな時間はやれないぞ」「少しくらい休み時間くれたっていいじゃないの」「だめだ」この件は、私が小屋において行く余ったチョコを師匠に譲ることでめでたく解決した。
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8月14日午前3時25分。目が覚めて時計を見るともうこんな時間だ。慌てて師匠とその仲間を起こす。4時からの朝食がどんなものだか分からないので、用心してジェリーチューブ2パックを食してあらかじめの朝食としておく。そして急いでトイレに並ぶ。
部屋に戻ってみると「アタシの靴下がない!」と騒いでいるニッポン人が・・・。我が師匠であった。
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身支度を済ませて急いで階下の食堂へ下りる。4時10分だ。紅茶を詰めてもらったテルモスを受け取り、ガイドがまだ現れないのをいいことにテーブルに着いてチーズを一欠けら、紅茶を三口啜っただけでマイク君に見つかってしまい、急き立てられるようにテーブルを立つ。
我が師匠も同様にエリック君に捕まり満足な朝食は取れず仕舞い。私は事前のジェリーパックが効を奏した。師匠はまだハーネスも着けてない!?
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4時15分過ぎ、小屋を出発する。外は漆黒の闇だが空には星が出ている。夕べの霧雨とはえらい変わりようだ。マッターホルンへは既にヘッドランプの列が連なっている。みんな随分早くから出発してるみたいだ。
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最初の岩場の渋滞で師匠の隊に追いつかれてしまい、さらに割り込まれ追い抜かれてしまった。おーいマイク君この渋滞なんとかなんないのお? でも、こんな渋滞が頂上までところどころあったおかげで、けっこう食べたり飲んだり、写真撮ったりする時間がいっぱいあった。ザックを下ろさなくて済むウェストポーチはこういうとき便利でした。
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マイク君のルート取りは完璧で、渋滞の列を避けるように道を外れて行ったかと思うと「あっちは、とっても難しいんだよ。こっちが簡単なんよ」とするすると壁を登って行ってしまった。しかたがないから付いて登ったら、にこにこして「アンタはとっても上手だね」と誉めてくれた。どうやらわざと難しい方を登って試されたらしい。こんなことを繰り返しつつ師匠のパーティをはじめ何組かをかわしながら登って行き、6時過ぎにはソルベイ小屋に着いてしまった。
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ソルベイ小屋の周辺はプーンと異臭が放っていた。北のはずれには巨大なウンチの塊が鎮座ましまし「こっちにはいっちゃだめよ」と睨んでいるし、小屋を左に巻いてちょっとした岩壁を乗り越えて小屋の上手の傾斜のゆるくなった一帯はそこいら中がトイレといった感であった。
ちょうど、このあたりにくるとみんなほっとするのか、小屋で急かされてトイレにも行けず、ここで一斉にやってしまうのか、とにかく汚い。
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ここでは休まず、ずっと登った馬の背の部分で初めての休憩となった。私はこまめに飲んだり食べたりしていたから休まなくってよかったが、ガイドのマイク君がしきりと水分を補給して置けと勧めてくるのでそれに従った。マイク君もザックから大きな1.5ペットボトルを取り出すと、ぐびぐびとやっている。ニッポン人はあまり水分を取らなさ過ぎるんだそうだ。高所では十分な水分の摂取がとても大切なことらしい。
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再び登り始めるとすぐに渋滞でつっかえてしまった。ここから上は、さっきまでのように脇道から追い越すといったことはガイドがやりたがらなくなってしまった。あんまり前に遅いパーティがいると「俺達が先行くからオメーラそこでじっとしてろ」と強引に同じルートを追い越すようになった。それでも、数組の大集団が前を塞いでなかなか進路は捗らない。
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7時過ぎ、まだ雪もないのにアイゼン装着の指示。だが後でこれが的確な指示だったことが分かる。がちゃがちゃと爪を軋ませながら進むと、だんだんと雪と氷が出始めた。ガイドは私に安全な場所で確実にアイゼンを着けさせたかったのだ。不安定な足場で必死にアイゼンを装着しようとしているパーティを横目にさっさと追い越して行く。
マイク君バンザイ!
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頂上雪田に差し掛かると、マイク君が私に手袋をしなくていいかと言う。
「いらない」と言うとちょっと眉をしかめて「そうか」とそのまま歩き始めた。しかし、しばらくするとマイク君が「ちょっと待ってて」と立ち止まり、厚いウールの手袋をザックから取り出してはめると「あんたは、とっても強いや」と照れて笑った。手が冷たくてたまらなかったのだろう。しかし、客には負けたくなかったのにちがいない。
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雪は触ると冷たいが、風はほとんどなく、天気は快晴。素晴らしい登山日和である。頂上雪田を登りきるとぐんと視界が開け細いリッジとなった。そこが山頂であることは紛れもない。他の隊からも歓声が起こる。
午前8時10分。ついにマッターホルンの山頂を踏むことができました。
小屋を出て4時間弱のタイムであった。ガイドと握手を交わし、写真を撮り合う。しばらく後続も来ず、そこでのんびり360度の大パノラマを満喫する。それから、少し戻って足場の良いところで大休憩を取る。
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マッターホルン山頂にて我が良き友マイケル・ピスターと
8時35分、「師匠をここで待ちたい」という言葉に耳を貸してもらえず、「彼女の足ではあと1時間はかかるよ」と言われてしまい、やむなく下山をすることになった。
すると下山をはじめて直ぐに師匠達が登ってくるではないか。あと5分でいいから待ってればよかったのにと思うと腹が立ったが、元気な師匠の笑顔が見られてホッとした気も手伝い、お互いの健闘を称え合って、そのまま下山を続けてしまった。ほんとうは山頂へ駆け戻ってもう一度喜びを分かち合いたかったのに・・・。
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下りは随分のんびりと写真を撮りながらの下山となった。なんだか臭ってきたなと思ったらソルベイ小屋でした。最近建替えられたばかりらしく、小さいけれどずいぶん立派な小屋だのに、この匂いはいただけません。10時半頃ここを出発する。
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途中、アプザイレンで遊んだりしながら、正午ちょうどにベルベデール小屋に到着。しばらくして下りてきた師匠の組を待って、その日のうちにツェルマットへ下山。
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エリック君は友達の結婚式があるとかで、その日に小屋を下りたが、マイク君は明日もまたガイドをして登るのだそうだ。彼のガイドは優秀で猿回しの猿だなんて気持ちにさせられずに済みました。常にOKを連発して客を盛り立ててくれる明るさはこうした困難な山ではとても大きな力になったと思います。
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ヘルンリ稜を背にのんびりシュバルツゼーへ向かう途中
今回の山行は本当に天気・ガイド・体調どれをとってもベストな条件だったと思っています。また、事前に皆さんからいろいろ参考になる情報をいただけていましたおかげで、成功できたとも思っております。
ほんとうにありがとうございました。
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初めての海外登山でこんなにうまくいってしまっては、ラッキーとしか言いようがないようにも思います。しかし、あの向こうに見えていたモンテ・ローザの大きな山塊が、さっそくなにやら私を誘惑しているような気がしてなりません。これを師匠に話すと、師匠も同じ感覚を覚えたと言っています。ああ、もう癖になってしまいそう!
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いえいえ、今はただ一つ、目の前に有る心配事をクリアしなければなりません。もちろんそれは今日からの社会復帰です!!
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※本記事は、'98年8月19日0時14分某MLへ投稿したものです。
なお、ML向けに脚色されていますことをお断りしておきます。
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