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製作著作山ボケ社
無断転載を禁ず

「療養の山旅」〜カムチャッカおちゃらけ登山〜



’97.8.30
なぞの会員:F

 ○○会の会報をいつも楽しく読ませていただき、自分が原稿を書くことなど考えたこともなかったのですが、この度のカムチャッカの山旅は貴重な資料なので(どこがよ〜)というAさんのお勧めをいただき、Aさんにはお世話になっているので書くことに致しました。

 さて、海外の辺境の山旅は11回目となりますが、今回は、予想以上に手つかずの秘境カムチャッカで、サバイバルで楽し〜〜いのひと言に尽きました。カムチャッカ行きなどこれっぽちも考えていなかったのですが、(予定ではスペインのピレネー山脈を登って来ようと計画していた)元気なだけが取柄の私が、5月下句に過労で入院するはめとなり、この夏は社会復帰を前提とする療養ツアーヘの参加が相応しいと考えたのでした。
 カムチャッカを勧められたのは、中高年に人気のある「アルパインツアーで、この度カムチャッカ研究会によるロシアとの折衝により直行便が実現したとのことで、名古屋からたったの3時間半で行けるという魅力的なものでした。この直行便には、4社の旅行会社が乗り合っていました。
 しかし、当日は、名古屋空港で7時間も原因不明の出発の遅れがあり、やっぱり国際線の保険に入れないアエロフロートらしいなあ……と改めて感心した次第です。アエロフロートに乗るのは3回目で、以前、東ヨーロッパの最高峰エルブルースに登頂した時に利用した際も、離陸時だろうが着陸時だろうが、シートベルトどころか座席にすら着こうとせず、立ったままで「ジュースいらんかえ〜、ビールいらんかえ〜、わけのわからんおつまみもあるでよ〜」と機内販売を続けるアエロフロートの乗務員に、ただ呆然としたのを覚えています。それからリクライニングも壊れています。ウワッ…。しかし、離陸さえすればカムチャッカヘは3時間半で飛んでくれたのは、当然のこととはいえうれしかったです。


 カムチャッカヘ着いて、エリゾブォ空港から30分のところのホテルで仮眠した後、キャンプ地へ向かいました。ところでロシアのホテルには、椎名誠著「ロシアにおける二タリノフの便座」に書かれてあるように、便座がありません。そこで、ボーイさんに「便座いっちょう!」と頼むと「まいど!」と持ってきてくれます。(どーでもええことですけど…)
 さて、ホテルからキャンプ地まで、途中からは、まるでモビリティパークの本チャンの如くすごい乗り心地です。雪渓の中を陸軍のトラックを改造したバスで突き進むのですが、体が宙に浮いたり、傾いたり…生きた心地がしませんでした。天候も荒れ模様で、キャンプ地に着いた瞬間、「シベリア抑留」の文字が頭をかすめました。そんな訳で、夕食の際のツアーのメンバー紹介の挨拶では、「生きて帰れさえすれば十分です…」といった内容が多かったです。ワクワクする気持ちを抑えきれなかった私はヘンでした。


 話を山の方に移すことにしましょう。カムチャッカには大小3,000の火山があり、最高蜂のクリュチェフスカヤ(4,850m)は活火山のため、2年前、私の友だちが登った時も爆発寸前で頂上まで登ることができなかったそうです。でも「富士山のありがたみがなくなってしまうだ〜」状態の富士山のそっくりショーの山々に囲まれたカムチャッカは、「ささ、どこへでも登ってちょ!」と言わんばかりで、山やさんにはこたえられないお国です。私はその中のアバチャ山に登りました。標高わずか2,710mでしたが、雪がびっちりこびりついていて、美しい山でした。800m のキャンプ地から、1日でアタック(10時間程度)できるものでしたが、もともとこのツアーは登頂はしないことが前提となっていて、登項したい人は保険だけは「危険を伴う」が付加されているのに変えて勝手に登ってちょ〜だい、ということでしたので、ロシア人のガイドと一部の人だけで登りました。

 朝7時45分出発。溶岩れきの道をダラダラ登っていくこと3時間。
 1,800m地点からは雪道となり、アイスバーン、テカテカツルツル状態となりました。ところが、雪の状態が良いのでアイゼン、ピッケルはキャンプ地へ置いていって良いとの指示で、アイゼン、ピッケルがなく、えらいこっちゃ……と全員、顔が青ざめてしまいました。
 ガイドに「あの〜、ロシアはどうか知らんけど、日本ではこういう場合、アイゼン、ピッケルがないと、『どえりゃーこわいでいかんがー』って話になると思うけど……」と話すと、「心配せんでも、あと 300mも行けば歩きやすくなるはずじゃけん、黙ってついてこんかね〜!」とのことでした。ところが「 300mってこ〜んなに長かったっけ〜?」ってブツブツ言ってるうちに頂上!
 「う〜ん、ちと判断をあやまったばい」とロシア人ガイド。ええ加減な国やなあ〜〜!
 ともあれ 1,800m地点から2時間半、13時30分、無事に頂上に着きました。
 頂上はさすがに火山、硫黄がたちこめ、カルデラが眼前に広がり、感動そのもの!そしてアラスカにつながるベーリング海もしっかり見え、とにかく素晴らしいのひと言につきました。でも、下山のことを考えると、とてつもなく憂鬱な気分になり、日本人10人、ガイド4人…暗〜い昼食をとったのでした。ところが、下山は気温が上がり、思いもかけず雪の状態が良くなっていて、ルンルン気分で3時間ほどでかけ下りることができました。

 翌日は岩山を登ったりして、あとはあくまでも療養ツアーに徹し、温泉、川下り、フィッシング…こんなに遊んでいいの〜〜!って感じで8日間が過ぎました。でも帰国後、発熱、幅吐、下痢…「はい、検便してね」…これって何回経験しても懲りへんFさんでありました。

 カムチャッカのお勧めはもちろん山ですが、ロッククライミングも結構できるそうで、あとはやはりあちこちに沸き出る温泉です。さらにイクラとサケの食べ放題、ウォッカもうまい…!
 地図を同封しましたので、いろ〜んな山にチャレンジしてみて下さい。ただし、療養中の方には少しハードです。うっ…。

 次回はどこに行こうかな〜〜、昨年、南極のビンソンマシフやらマッキンリーやらのお誘いがありましたが、仕事を首になる覚悟はまだできていないので、また、おちゃらけ山行にとどまることでしょう。こんな程度の報告でお許し下さいませ。

※地図は近日掲載予定です。