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製作著作山ボケ社
無断転載を禁ず

巻機山・山スキー行



 今回は4回目の巻機山。米子沢2回、晩秋テント山行1回で、山スキー登山は初めて。
 25日、夜半車にて東京発。3時間で清水集落手前5kmのバス停着。屋根付の待合室にテントを張って、酒も飲まずにバタンキュー。結構、冷えて足先が冷たかった。
 翌朝、7時過ぎ起床。1時間の寝坊。清水まで行き、除雪端まで行って、橋に駐車。標高540m。適当に食べて、身づくろいをして8時45分出発した。除雪で出来た雪壁から雪面へ登れるポイントを探してうろうろし、結局、民家の裏からよじ登った。そこからシールを貼ったスキー板をつけた。
 夏のキャンプ場を過ぎて、米子沢の入り口を通過して樹林帯の尾根を行く。山スキー初体験のS君が登りの斜面でハの字に足を開いてしまう傾向があり、苦労していた。10時、樹林帯の中で待ちがてら20分の休みをとる。春スキーみたいに陽気が良い。シャツは1枚にする。やがて、“井戸の壁”と言われる斜面に取り付いた。上は斜度がきつい。クトー(スキーアイゼン)をはめるが、さらに上では板をはずして背負った。雪は柔か過ぎるということはなく、ザラメっぽく、つぼ足で意外と苦労しなかった。これなら早く担ぐのだった。
 稜線に出ると驚くほど風が強く、ヤッケを着込んだ。ニセ巻機の山頂では風がうなっている。やはり、2月の2000mクラスの山だ。右手には柄沢岳などの頂が真っ白な雪屏風を立てて連なり、山スキーにおいしそうな斜面をダイナミックに谷に落としていた。スキー板を再びはいて稜線を行く。右手に雪庇が出ているので、右によらないように注意する。稜線は再び広い樹林帯になり、一人、山スキーの人が滑り降りて来るのに会った。さらに進むと、平坦になっているところにイグルーがあって、休んでいる登山者がいた。明日は守門に行くとか。先行していたS君が話しているのかと思ったら、Mリーダーだった。なんと、斜度がゆるくなると、S君は猛然と若いパワーを発揮してぴゅーと、先に行ってしまうらしい。さすが20歳台の馬力。その登山者は風が強いので樹林帯の限界まで行って降りてきたとのこと。
 そこから再び、樹林帯に入り、短いが少し急な斜面を登る。5m位ずるずると滑落してしまったが、樹林帯の中なのですぐ止まった。12時に1300m位の所で2本目の休みをとった。時間的に頂上までは厳しいので、ニセ巻機か、2時までに行ける所までかなどと話す。1400mで樹林帯を抜け、吹きさらしに出た。ニセ巻機が白い半身を眼前にさらしている。右手のなだらかな白い稜線と、抜けるように透明な青空のコントラストが美しい。
スキーヤーが一人、雪の斜面にきれいなシュプールを刻んで滑り降りてくるのが見えた。アイゼンの登山者も一人、下山してきた。4名の単独行者とすれ違ったので、本日の巻機山は私たち3名を含めると、7名が訪れたことになる。
 一段上がると一層、風が強く、斜度がきつい。ところどころ、アイスバーン状になっているようだ。1600mで、S君は板をぬいで担ぐという。私は、“板を背負うと重いし、風を受けると歩きにくく遅くなって迷惑をかけるだろうし、上はアイスバーンだとすべるのも難儀するだろう”と、あれこれ考えて、板をデポすることにした。
 斜面はアイゼンを履くほど凍ってはいず、キックステップが楽に刻めて、気持ちよく高度を稼げた。しかし、板をつけたまま先行していたMリーダーが1700mポイントで、板を脱いでシールをはがし始めた。
“2時になったので、下山する。S君のすべりをみたことがないので、井戸の壁が凍ってしまうと心配だ”との由。少し残念だけれど、ニセ巻機山山頂まで150mを残して下山することにする。雪山の魅力は満喫できた。振り返れば、上越の白い山脈が、午後の傾きかけた日を浴びて輝いていた。
スキー場でみるよりも、一段と美しいように思えた。
 デポ地点まで降りて、14時半頃、スキー下山開始。雪質はややザラメで、上手な人には滑降においしい斜面だ。ところどころアイスバーン化していたので慎重に滑った。たちまち、樹林帯に入ってしまう。井戸の壁は雪が凍っていなかったので無事、降りれた。雪質は2月に期待されるふかふかの新雪ではなくて、水を含んだ重たい雪だった。樹林帯の下の方で先日の深雪スキーレッスンの復習をしようとした瞬間、板が雪に突き刺さって前のめりに顔から大転倒。雪が腐っていて、やわらかかったので助かったが、板を雪から抜き出すのに一汗かいた。雪の質が違うと同じ様な滑りはできない物だと学習した。
 15時40分頃、車道に降り立った。五十沢温泉元湯で一風呂浴びた。5、6歳くらいの男女の子連れのお母さんと脱衣場で言葉を交わす。男の子が、「きれいな人だね」と言う。どうも、私のことを言ってくれたようだ“新潟の子は何とかわいらしいのだろう!”と、突然、愛想が良くなってしまう。うーむ、私は昔から子供にはもてたのだ。六日町ジャスコへ。鍋物の材料を買い込む。五日市駅前などあれこれテン場を探したが、結局、八海山スキー場の駐車場に車を止め、その脇にテントを張った。3パック千円のお刺身を肴にしつつ、魚や白菜、きのこ、蛸入りつみれなどの寄せ鍋を作ってポン酢をつけて食べた。淡麗辛口の八海山とマッチしていた。スキー場のレストハウスのトイレがそばにあり、快適な幕営地だった。
 夜は暖かかったが、5時起きると、風がうなっていた。寄せ鍋のスープでうどんを煮て朝食にした。車で阿寺登山口まで行くが、下車前から雨が降り始めた。天候は悪化が見込まれるので中止にする。ゲレンデスキーをしようかと、神楽三叉スキー場まで行く。駐車場の係員によれば、“上のロープウエイは動いていないし、下のリフトも徐行運転”、おまけに雨ということで、一旦、駐車場に入った車も続々と帰って行く。我が隊も撤退することにし、雪の三国峠を越えて猿ヶ京に出た。目当ての村の“いこいの温泉”は10時にオープンとのこと。時間つぶしに、隣のあずまやで、雪景色をながめつつ、お湯を沸かしてコーヒーを飲んで、抹茶をたてた。“いこいの湯”のお湯は肌触りが良く、小屋の雰囲気もオールドファッションでやさしく、気持ちが休まる。高崎まで下を走って、高崎ICそばの二代目丸源というお店でキャべトンラーメンを食べた。スープはあっさりしているようでコクがあり、盛り合わせのキャベツが甘くおいしかった。驚いたことは、早食いの私が無我夢中で麺をすくいきって、ふと見ると眼前の2人はすでにスープを啜っていたことだった。不覚をとってしまった。さすが、30歳前後の若者2名。高崎から関越にはいって、4時前に帰宅した。ずっと雨だった。

山ボケ猫 著